医療技術

「人体の免疫システム」病原体への攻撃 顕微鏡でとらえた!世界初 英国(動画)

 わたしたちの体には、外部から侵入してきた細菌などを攻撃し、排除する「免疫システム」がある。英ロンドン大学などの研究チームは、最先端の原子間力顕微鏡を使って、免疫システムが病原体に穴を開けるようすを再現するのに成功した!

 

 ヒトの体にはさまざまな防御機能が備わっており、それらは侵入してきた病原体や、異常になった自己の細胞をいち早く見つけて排除しようと働く「自然免疫(先天性免疫)」と、一度感染した病原体を覚えていて、再び出会ったときに排除する「獲得免疫(後天性免疫)」のふたつに分けられる。

 

 それぞれがお互いに作用することで宿主の体を守っているが、免疫システム自身が異常をきたすと、免疫不全が起こって、感染を繰り返したり、正常な組織を外来の敵と誤って攻撃することがあるというやっかいな側面もある。

病原体の細胞膜に穴を開けて破壊!

 科学誌『ネイチャー・コミュニケーションズ』に今月6日掲載された論文によると、ロンドン大学の研究チームは原子間力顕微鏡を使って、「膜侵襲複合体=MAC」という免疫システムが、病原体に小さな穴をあけて攻撃するようすの撮影に成功した。MACとは自然免疫に属していて、20種類以上からなる血中タンパク質の一群だ。

 

 公開された動画のなかでは、ドーナツのようなリング状の形をしたMACが病原体にとりつくと、その表面を覆う細胞膜に10ナノメートル(10億分の1メートル)の穴を開けるようすがとらえられている。穴ができると、MACの動きは一時的に停止したのち、17種類以上のタンパク質が穴の中に飛び込んでいく。

攻撃前の一時停止の意味は?

 この不思議な動きについて、ナノテクノロジー学者のエドワード・パーソンズ(Edward Parsons)博士は「悪い病原体をやっつける前に、自分自身の細胞を守るために、一瞬立ち止まったみたいに見えます」とコメントしている。

 

 研究チームが撮影に使った原子間力顕微鏡は、通常の顕微鏡とは異なり、観察する対象物の表面を超微細な針(探針)で何度もなぞることで、タンパク質の凸凹の形状や動きを調べるというもので、画像1点につき6.5秒で撮影している。その動きは目の不自由な人が点字をなぞる行動に似ているという。

 

 あなたにオススメの記事