環境

気候変動が原因か?クジラの栄養失調が深刻化 米西海岸であいついで死亡

 今月6日、米国サンフランシスコの海岸で、深い傷を負ったコククジラの死骸が見つかった。西海岸では今年3月以降、コククジラ9頭があいついで死亡しており、専門家が「異常事態」だと懸念している。

 

 カリフォルニア州の海洋哺乳類センターは7日、サンフランシスコのオーシャンビーチに打ち上げられたコククジラの死因について、「貨物船との衝突による頭蓋骨と背骨の複雑骨折」だと発表した。

20年前にも大量死が…

 海洋生物の病理学者パドレッグ・ドゥイニョン(Pádraig Duignan)博士によると、毎年春先には、2、3頭のクジラの死亡が報告されているが、今年は3月10日以降、2カ月間で合計9頭があいついで死亡していて、「極めて異常事態」だと懸念している。

 

 これらのコククジラを解剖して死因を調べた結果、9頭のうち4頭は、船との衝突が直接の原因だったが、ほかの4頭はすべて栄養不足、残る1頭についてはわからなかった。さらに衝突事故で死亡したクジラたちは、健康なクジラに比べて、皮下脂肪が極端に少なく、栄養不足の可能性が指摘されている。

 

 コククジラは、体長12〜15メートルとヒゲクジラの仲間では比較的小型で、外洋に出ることはなく、沿岸部を南北に往復して回遊する習性を持つ。かつては北半球全域に棲息していたが、乱獲によって個体数が激減し、絶滅が危惧された時期もあった。

 

 国際法によって保護対象になった現在、北米沿岸の生息数は回復傾向にあるが、カリフォルニアの専門家たちは、回遊中のコククジラには、明らかに栄養不足の個体が多く、出産したばかりの母子の目撃が減っているという。

 

 コククジラ減少の原因はまだ明らかにされていないが、海洋哺乳類センターは、「気候変動による海水温とエサ不足の可能性が高い」と指摘。西海岸のコククジラは、メキシコ北部バハ・カリフォルニア州沿岸の温かい海洋で出産後、エサが豊富な北極圏の海を目指して太平洋を数万キロ北上し、再びメキシコに戻ってくる。

 

 しかし気候変動により北極圏の海氷が溶けて、プランクトンやエビやカニの生息環境が変化したため、それらをエサにするコククジラにとって食料をめぐる生存競争が激化している可能性があるという。

 

 コククジラの大量死は1999年から2000年にかけても報告されており、この間は西海岸で600頭以上があいついで死亡。死因は特定されていないが、このときも食糧不足による栄養失調だった可能性が高い。

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