医療技術

幸せホルモン「オキシトシン」自閉スペクトラム症の表情豊かに 治療効果確認

 

 子育て中のお母さんが、母乳を出すときに分泌するホルモン「オキシトシン」は、俗に「幸せホルモン」とか「愛情ホルモン」などの名前で知られるが、現在は治療が困難な「自閉スペクトラム症」の患者に投与を続けると、表情豊かになる効果が得られることが、浜松医科大学などの研究で確認された。

 

 オキシトシンは、脳の下垂体から分泌されるホルモンで、従来は子宮の筋肉を動かすことで、スムーズな出産を促進させたり、母乳がよく出るようになる働きで知られる。一方で、最近の研究では、男女を問わず、スキンシップやペットとの触れ合いなどを通じて脳で作られることも明らかになっていて、さまざまな効果が期待されている。

 

 浜松医科大の山末英典教授は、東大大学院の大和田啓峰医師らと共同で、自閉スペクトラム症患者121人を対象に臨床試験を実施。6週間毎日2回のオキシトシンを鼻粘膜に投与した前後で、コミュニケーションするようすを動画で記録し、表情の変化を比較した。

改善効果 いったん弱まるが回復

 自閉スペクトラム症は、従来の自閉症からアスペルガー障害や、広い意味での発達障害までを含み、社会的なコミュニケーションや他者とのやりとりがうまくできないとか、表情が乏しい、独自のやり方やルールにこだわり、興味や活動が偏っているなど、さまざまな特徴がある。

 

 臨床試験では、撮影した動画からコマ単位で7種類の表情を選び出して数値化する解析を行った結果、投与開始から2週間で表情の乏しさに改善が見られた。改善効果は4週間後、6週間後に弱まったが、6週間の投与終了後に、さらに2週間経過すると、再び回復し、改善効果が強まったという。

 

 現在、山末教授は帝人ファーマと共同で、自閉スペクトラム症の治療薬を開発中で、国内の大学と共同でオキシトシン点鼻薬の治験を進めていて、今回の研究成果が、治療薬の効果を最大に引き出すための投与方法の発見につながると期待している。なおこの研究成果は、英科学誌『ブレイン』で17日付で掲載された。

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