医療技術

熱は下げるか、そのままにすべきか?細胞レベルで影響調査 東北大

 風邪をひいたときに出る熱は、免疫機能が活性化して、ウイルスと戦っている生体防御反応なので、むやみに下げる必要がないといわれる。東北大学のグループは、高熱が及ぼす影響を細胞レベルで調べた結果、たとえウイルスに感染していない状態でも細胞が傷つくことを突き止めた。子供や高齢者などは、抗ウイルス薬とともに解熱剤を使う必要性があるという。

ノドの粘膜細胞を培養

 東北大大学院の山谷睦雄教授と仙台医療センターの西村秀一ウイルスセンター長らのグループは、インフルエンザウイルスに感染したときの高熱に相当する39〜40℃の高温が、ヒトの呼吸器の細胞にどのような影響を与えるか調べた。

 

 具体的には、気管支の表面の粘膜から採取した細胞を、39℃、40℃と平熱にあたる37℃で培養したうえで、2019年新型インフルエンザウイルスに感染させたものと、ウイルス未感染の細胞とを比較。

 

 その結果、ウイルスに感染した細胞では、高温で培養したものは平熱で培養したものに比べて、感染3日後から生存率が大幅に低下した。一方、ウイルスに感染していない場合でも、高温で培養した細胞は、5日後に生存率が低下することがわかった。

ウイルスの増殖が減るのはなぜ?

 次に、ウイルスを感染させた細胞を高温下で3日以上培養すると、ウイルスの増殖が減少することも判明。これはウイルスが細胞に侵入するときに足がかりとしている細胞内の「酸性エンドソーム」も高温で減少するため、ウイルス増殖の抑制につながったのだという。

 

 2018年から2019年にかけてのインフルエンザシーズンは、3月下旬にいったん流行が終息したあと、4月に入ってから再び流行がぶりかえした。

 

 今回の研究成果を受けて研究グループは、高熱が出るとたとえウイルスに感染していない状態でも細胞が傷つき、症状が重症化する可能性があるとして、抗ウイルス薬でウイルスの増殖を抑えながら、安全性が確立されている解熱剤を活用して平熱を維持することの重要性を訴えている。

 

 なおこの研究成果は、英科学雑誌『へリヨン』に掲載された。

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