感染症

ハワイ 脳に寄生する「広東住血線虫症」観光客があいつぐ感染 保健省が注意喚起

 米ハワイ保健省(DOH)は先月、ハワイを訪れた観光客3人が、人間の脳に寄生する「広東(カントン)住血線虫症」にあいついで感染したと発表し、注意を呼びかけている。

 

 保健省によると、3人のうち1人は、2018年12月に米国本土からハワイ東部を訪れた際に、仲間との悪ふざけで無謀にもナメクジを食べて感染。

 

 さらに今年1月になってからハワイ島西部を旅行した観光客が感染したことも明らかになったが、この患者は滞在中に生野菜のサラダをふんだんに食べたと証言しているという。

2018〜2019年で15人

 最後の1人は、今年2月下旬に体調不良を訴えて、短期間入院したことで感染が明らかになった。米疾病予防管理センター(CDC)によると、ハワイ島では2018年に10人、今年に入ってからすでに5人の「広東住血線虫症」の感染が報告されているという。

 

 この寄生虫は、ネズミやカタツムリなどを宿主とし、ヒトが感染すると髄膜炎などを引き起こし、麻痺やけいれん、失明などの後遺症が残るおそれがあるというもの。寄生虫がいるカタツムリをネズミが食べると肺炎を起こすことから、一般に「ラット肺炎症」とも呼ばれており、生野菜やジュースの中に入っているナメクジのほか、これらをエサにしている淡水エビやカニ、カエルを生焼けで食べることでも感染するという。

 ハワイ保健省によると、寄生虫に汚染された植物を食べてから1〜3週間後に発症し、初期の段階では頭痛や肩こり、軽い発熱や嘔吐などがほとんどであることから、ほとんどの人は風邪だと思って、医療機関を受診しない場合も多く、正確な感染者の数はもっと多くなる可能性があるという。

 

 「広東住血線虫症」という名前が示すように、従来は台湾や東南アジアなどの熱帯域で多く見られる病気だったが、2017年のフロリダ大学の研究論文によると、貨物船のコンテナなどに運ばれて、寄生虫を持つネズミやカタツムリなどが拡散され、温暖化によって生育エリアを広げた可能性が高いと指摘している。

 

 日本でも沖縄や奄美大島などを含む南西諸島、鹿児島県、福岡県、広島県、神奈川県、小笠原島などで捕獲されたドブネズミやクマネズミに自然感染が認められている。

 

 ナメクジをあえて食べようという酔狂な例は別にして、生野菜や果物を食べる際は、あらかじめよく洗浄することが予防のポイントだ。

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