医療技術

「ストレス」が乳がん悪化 自律神経操作で新治療法へ 岡山大など

 

 40〜50代の女性がかかるがんの死亡原因1位とされる乳がんについて、岡山大学や国立がん研究センターなどのグループは、ストレスに関係する自律神経が、がんの進行を早め、転移に強い影響を及ぼすことを発見した。

 

 マウスを使った実験で、自律神経の遺伝子を操作すると、がんの増加と転移が抑えられることも実証した。

40〜50代女性のがん死亡原因の1位

 自律神経は、脳から心臓や腎臓などの臓器へ電気信号を送ることで命令を伝えており、ほとんどすべての臓器の働きを調整している。これまでにも特定の患者グループを対象とした疫学調査では、慢性的にストレスにさらされていることが、がんの悪化に関係すると指摘されていたが、そのメカニズムは謎だった。

 

 岡山大大学院の神谷厚範教授は、国立がん研究センターや東京医科大学などと共同で、手術を受けた患者29人のがん組織を調べた結果、がん組織内の交感神経の密度が多く、副交感神経が減少している患者では、再発しやすいことを突き止めた。

 さらに、ヒトの乳がん組織を移植したマウスの実験で、交感神経を刺激し続けると、がんのサイズが時間の経過に従って大きくなり、転移することがわかった。一方、遺伝子治療によって、がん組織に分布する交感神経の活性化を止めると、がんの増大と転移が抑制されたという。

 

 神谷教授は「ストレスによる心の状態や交感神経の緊張が、がんを悪化させる可能性がわかった。心を平穏に保つことががんを抑制するうえで大切なのかもしれない」と述べて、自律神経を操作する遺伝子治療が、新たな治療法に結びつく可能性があると期待している。

 あなたにオススメの記事