感染症

人食いバクテリア 米国で感染あいつぐ「48時間以内に急死」予防法は?

 米国の東海岸では最近、ビーチで遊泳中に「人食いバクテリア」と呼ばれる「壊死性筋膜炎」への感染があいついでおり、きょうまでにすでに2人の死亡が確認されている。

 

 米フロリダ州西部のオカルーサ郡で今月6日早朝、家族と共に休暇に訪れていたデイブ・ベネットさんが高熱と悪寒を訴えた。同行した娘のシェリルさんによると、一家はその週、メキシコ湾に浮かぶ島をボートでめぐったり、海水浴を存分に楽しんだ後、6日に自宅があるテネシー州に帰る予定だった。

 

 デイブさんには持病があったことから、知らない土地の病院を受診するより、かかりつけ医に見てもらおうと自宅があるメンフィスに戻る途中で、脚が猛烈に痛みだし、全身がけいれんを起こしていた。

フロリダであいつぐ感染

 夜8時に病院にたどりついたときには、脚や背中などあちこちに黒いアザが現れ、担当した医師は「身体中の筋肉が壊死を起こしている。臓器も傷んでいる」と告げたという。デイブさんは7日午前1時過ぎ、敗血症を起こして急死した。

 

 死因について医師は「ビブリオ・バルニフィカスによる壊死性筋膜炎」として、フロリダのビーチで遊泳中に感染した可能性が高いと診断を下した。

 

 地元メディアの報道によるとフロリダ州では今年5月にも45歳の女性がフロリダ半島西部のサラソータで壊死性筋膜炎に感染。さらに6月には77歳のリン・フレミングさんが浜辺を散歩中にスネにケガをして3日後に意識不明の重体に陥り、同27日に2度の脳卒中と臓器不全を起こして死亡。

 

 今月に入ってからも28歳の女性が海に入って30分後に足が腫れ始め、「蜂巣(ほうそう)炎」という皮膚内部の感染症で入院するなど、海の人食いバクテリアによる感染症があいついでいる。

日本でも100件以上

 原因のビブリオ・バルニフィカスは、海水温が20℃を超える5月から10月にかけて多く、日本でも1975〜2005年までの30年間に、九州の有明海や八代海岸沿岸などを中心に185件の感染報告がある。

 

 日本での感染は、刺し身や寿司などの魚介類を生食、あるいは十分に加熱しないで感染する経口感染タイプが7割強を占めるが、それ以外は、岩場や砂浜で、貝殻などで足を切って傷口から感染する経皮感染タイプも知られる。

 

 フロリダ州であいついでいるのは、経皮感染タイプだが、フィラデルフィア科学大学などの最近の発表(『Annals of Internal Medicine』)では近年、首都ワシントン州近郊のデラウェア湾でも感染が増えていて、地球温暖化による海水温の上昇が影響している可能性が考えられる。

 

 デラウェア湾はフロリダの暖かい海と比べて海水温が低いため、以前はほとんど例がなかったが、2017年と2018年の夏には5人が感染し、このうちカニを食べた64歳の男性が死亡しているという。

 国立感染症研究所感染症情報センターによると、ビブリオ・バルニフィカス感染症は恐ろしい病気だが、この菌に汚染された食品を食べたとしても、健康な人は軽い下痢や腹痛程度で済む場合が多く、注意しなければならないのは、免疫機能が低下していたり、肝硬変、肝臓がん、肝炎など肝臓疾患のある人、鉄欠乏症貧血などで鉄剤を内服している人のリスクが高いという。

 

 日本でもまもなく夏休みに入り、本格的な海水浴シーズンを迎えるが、ハイリスクの人は注意してほしい。

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