医療技術

新たな血液型「KANNO(カノ)」日本の研究グループが特定

 私たちの血液には、「A、B、O、AB」の4型があることはよく知られている。その次に重要なのは「Rh±型」だが、血液型はこれだけにとどまらず、実は36種類までが国際輸血学会で認められている。福島県立医科大学や日本赤十字社などのチームは、日本人としては初めて、37個目の血液型を発見した!

 

 血液型を区別するのは、赤血球の表面や内部にある「抗原」と呼ばれる物質だ。その数は数百種類もあり、代表的な抗原がA抗原(A型)とB抗原(B型)。これら二つが揃うとAB型になり、どちらもないとO型になる。

 

 血液型を知るのは、安全な輸血や臓器移植を行うためだというのはご存知だろう。血液型が一致しなければ、自分が持っていない抗原への免疫反応が起こり、健康被害をまねくおそれがあるからだ。

自己血輸血の女性から発見

 福島県立医科大学附属病院では1991年、子宮筋腫の摘出手術のために入院した40代の女性から、手術時の輸血用に自分の血を採血し、この血液を調べた結果、これまでに知られていない特定の抗原を持たない血液型だとわかった。暫定措置として、発見者の名前を元に「KANNO(カノ)抗原」を持たない血液という意味を持つ「KANNO(−)型」と名付けた。

 

 その後、同じ血液を持つ患者が山形県や宮城県の赤十字血液センターでも十数人報告されたが、依然としてこの血液型を作る抗原の正体はよくわからないままだったという。

 

 そこで福島県立医科大と国立国際医療研究センター、日本赤十字社で共同チームを立ち上げ、患者と健常者を比較するゲノム解析を行った結果、KANNO抗原に関わる遺伝子の特定に成功した。

37種類目の血液型

 

 患者18人全員に共通した新たな血液型抗原には、クロイツフェルト・ヤコブ病の原因になるプリオンタンパク質の一部のアミノ酸に、遺伝子変異があることを突き止めた。 

 

 ヒトのクロイツフェルト・ヤコブ病は、脳に異常なプリオンタンパク質が沈着して、脳組織がスポンジ状に破壊されるプリオン病の一種で、その発生メカニズムの解明や、治療法は確立していない。

 

 チームによると、この遺伝子変異を持つ人は、日本人以外のアジア人集団でも、5%程度の割合で存在することも判明した。この新しい血液を詳しく調べ続けることで、プリオン病の研究にも役立つ可能性があると期待が寄せられている。

 

 なおこの研究成果は、輸血に関する医学誌『Transfusion』に掲載された。

 

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