食中毒

新潟の旅館 鹿肉料理で「ザルコシスティス寄生虫」30人が集団感染

 新潟県南魚沼市の旅館で、今月17日から18日にかけて宿泊した客30人が、下痢や嘔吐などの食中毒症状で医療機関に搬送されていたことが明らかになった。保健所は加熱不足の鹿肉から、「ザルコシスティス」という寄生虫が検出されたとしており、これが食中毒の原因である可能性が高いとみている。

 

 食中毒が発生したのは、南魚沼市大沢の旅館「里山十帖」。新潟県は今月19日、同旅館の宿泊客3人が急性胃腸炎で救急搬送されたと消防から連絡があった。

 

 南魚沼保健所が調査した結果、17日から18日に同旅館が提供した夕食を食べた21グループ52人中、20代から70代の男女30人が38度近い発熱や嘔吐、下痢などを発症し、このうち1人が入院、5人が病院で治療を受けていたことがわかった。

ザルコシスティスとは?

 当初、食中毒の原因物質はわからなかったが、その後の調査で肉料理として提供した北海道産の「エゾシカ」の可能性が高いことがわかった。

 

 里山十帖を運営する「自遊人(じゆうじん)」によると、エゾシカの肉は、北海道のジビエ専門業者が真空パックの状態で出荷したもので、フライパンで塊肉の状態で焼き目がつくまでローストしたあと、真空パックに入れて1時間、低温加熱したものだが、保健所の検査で、未調理の鹿肉と患者の便からザルコシスティスが検出されたという。

ジビエブームの影で謎の食中毒

 ザルコシスティスは、馬やイヌを宿主にする寄生虫で、ここ数年、全国的に食後数時間で一過性の嘔吐や下痢を発症し、軽症で終わる原因不明の食中毒があいついでいることから、厚生労働省などが調べたところ、馬肉の刺し身が原因だとわかった。

 

 この寄生虫は、マイナス20℃で48時間以上冷凍処理するか、70℃で15分間、もしくは100℃で5分間加熱すると感染性が消えるが、里山十帖で提供された料理では、加熱条件を満たしていなかったという。

 

 新潟県は1日の営業停止を命じたが、同旅館では今月30日まで営業を自粛し、その間に再発防止を徹底すると発表した。

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