東日本大震災

「スロー地震多発地帯」巨大地震の破壊を食い止めるバリアだった!京大防災研

 東日本大震災から8年目の今年、京都大学防災研究所などのグループは、宮城県沖に位置する震源域を、南北からはさむスロー地震の多発地帯が、巨大地震による破壊をブロックするバリア(障壁)として働いていた可能性があることを突き止めた!

 

 スロー地震とは、通常の体に感じる地震と比べて、断層がゆっくりと滑る(スリップ)現象で、海側プレートが陸側プレートの下に沈み込む境界上で発生する「海溝型地震」の近くで観測されることが多く、南海トラフ地震の震源域を中心に研究が進められている。

 

 2011年3月、マグニチュード(M)9.0の巨大地震が発生した日本海溝でも、スロー地震の存在は知られているが、岩手県沖から茨城県沖に至る海溝全域の活動についてはわからないことが多く、東日本大震災との関係も解明されていない。

日本海溝の海底観測データを分析

 京都大防災研究所と東北大学、東京大学などのグループは、根室半島沖から房総半島沖までの海底に設置した地震観測装置や地殻変動データにもとづいて、異なる3種類のスロー地震に着目。

 

 3種類は、▽周波数が1〜10ヘルツの微弱な振動が数十秒から数百秒以上続く「テクトニック微動」と、▽周波数がさらに低い0.01〜0.1ヘルツの「超低周波地震」に加えて、▽GPS衛星による地殻変動の観測でしかとらえられない数日から数年かけて動く「スロースリップ」だ。

 

 これらと連動する地震現象も加えて、1991年以降に発生したスロー地震の震源を地図上に落とし込んでみたところ、M9.0の巨大地震の震源である宮城県沖ではスロー地震が少なかった一方、南北に位置する岩手県沖と茨城県沖ではスロー地震が多発していた事実が明らかになった。

 

 さらに、1930年以降に発生したM7.0以上の地震についても、断層の動きが大きい場所と、スロー地震の震源分布を比較した結果、やはり、スロー地震多発地帯では断層のすべりが小さかったことが判明した。

 

 研究グループは、スロー地震の多発地帯が、大地震の破壊を食い止めるバリアとして働いていた可能性があるとして、今後は、日本海溝以外のプレート沈み込み帯についても、スロー地震との関係性を調べていく予定だ。なおこの研究成果は、米科学誌『サイエンス』に8月23日付けで掲載された。

 あなたにオススメの記事