医療技術

70歳のお婆さん「寒さで血が凍る! 」全身にクモの巣模様が出現 米国

 あまりに恐ろしい体験をすると、「血も凍るほど」という表現を使うが、米ニューヨークではこの冬、平均気温9℃続きの厳しい寒さで本当に血が固まってしまった女性が病院に運びこまれた。驚いたことに、全身の皮膚にクモの巣のような模様が浮かび上がっていた!

 

  マサチューセッツ内科外科学会の医学誌『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン(NEJM)』に今月26日に掲載された症例報告によると、この女性は、冬の寒さが厳しいニューヨーク州北部に住む70歳。

 

 ひどいめまいが1週間ばかり続いたあと、皮膚に発疹が現れたので、近所の診療所を受診。診察室で上着を脱いだときには、身体中に赤紫色の蜘蛛の巣のような模様が浮き上がっていた。

赤血球がだんご状に固まる!?

 女性は「2週間前にウイルス性の呼吸器感染症にかかったあと、1週間近くめまいが続いていた」と伝えた。これを聞いた医者は当初、一次的に血管が異常収縮を起こしたのが、原因だと考えたが、採血サンプルをクーパーズタウンのバセット医療センターに送り、精密検査を行うことにした。

 

  その結果、問題があるのは血管ではなく、血液そのものだとわかった。赤いはずの血液は、透明な液体に変わり、赤血球はだんごのように固まっていたのだ。米国立衛生研究所の詳しい分析によって、原因は自己抗体が赤血球と結合してしまう「寒冷凝集素症」だと判明した。

 

  抗体とは、体内に細菌やウイルスなどが侵入すると、排除しようとして、異物の抗原にくっつく働きをするもの。しかし、もとから体内にある抗原ではない組織にも抗体ができる場合があり、この自己抗体ができると、膠原病などの「自己免疫疾患」を引き起こす。

皮膚の模様はどうなった?

 ニューヨーク州の女性の場合は、体が寒さにさらされると、寒冷凝集素という自己抗体ができて、赤血球の膜にある抗原と結びつき、赤血球が凝集したというわけだ。当時のニューヨーク州の平均気温は、猛烈な寒波の影響で平均気温が10℃以下、おまけに病気にかかったことで体力が低下していたので、それが引き金になった。

 

  ほおっておくと、赤血球が破壊され(溶血)、貧血を起こすため、手足の痛みや変色(チアノーゼ)、感覚障害などを引き起こすことから、医療チームは患者の体を37度に温め、輸血と免疫抑制剤のリツキシマブ(商品名「リツキサン」)で治療を行った。

 

 1週間後、赤血球と血液の量は正常に戻り、貧血が改善、めまいも治ったが、皮膚のまだら模様は今も残っているという。

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