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眠ると1カ月以上起きない少女「眠れる森の美女症候群」インフルとの関係は?南米

 南米コロンビアに住む17歳の少女は、いったん眠りにつくと数日はおろか、ときには数週間、1カ月以上にわたって、目が覚めないという奇病「眠れる森の美女症候群」だ。

 

 シャリク・トーヴァー(Sharik Tovar)さんは、世にもまれな「クライン・レヴィン症候群」だ。日本語で「反復性過眠症」と呼ばれるこの病気は、1日の大半にあたる16〜20時間もの間、眠ってしまう「過眠」状態が数カ月間隔で訪れ、いったん過眠期に入ると、通常の生活をおくることができなくなる。

母親の顔を忘れた

 100万人に1〜2人の割合という非常に珍しい症状で、十代で発症するケースが多く、14年ほど過眠期を繰り返しながら、だんだん出現頻度が少なくなる。しかし症状の出方や期間には個人差が多く、12歳以前と20歳以降に発症すると長期化する傾向があるという。(済生会長崎病院「反復性過眠症」のホームページより)

 

 海外メディアの報道によると、シャリクさんは2歳で発症し、寝ている間は母親が液体栄養補助食品を数時間ごとに食べさせているという。これまでに最も長く眠っていたのは70日間で、このときは48日目で一時的に目覚めたとき、母親の顔を見忘れていたというから驚きだ。

患者と家族を支える財団も…

 欧米の医療関係者は、最初にこの病気を記録した2人の名前から「クライン・レヴィン症候群(KLS)」と呼んでいて、患者と家族を支援するための非営利組織も設立されている。そのKLS財団によると、患者は過剰な睡眠に加えて、過食気味の傾向があり、起きている間でも「夢の中にいるみたい」と非現実感を訴えたり、話す言葉がゆっくりしていて別人のようなふるまいをしたり、周囲に対する関心が無くなるなどの無気力・無関心がみられるという。

 

 ディズニー映画「眠れる森の美女」は、魔女マレフィセントの呪いで、糸車に指を刺したオーロラ姫が16歳で眠りについてしまうが、現実のクライン・レヴィン症候群の原因は不明だ。(動画はシャリクさんの症状を報じるコロンビアのニュース)

 

インフルエンザ感染後に発症

 2005年に小児神経学の医学誌『Pediatric Neurology Briefs』に掲載されたノースウェスタン大学の研究論文によると、1962年以降に報告があった195例のうち、43%でインフルエンザや発熱、喉の炎症などといった何らかの病気に感染していたという。

 

 また米国の「希少疾患患者のための非営利組織(NORD=National Organization for Rare Disorders)」によると、一部の研究者には、睡眠覚醒や摂食行動、体温調節などといった生理機能を司る脳の視床下部に問題があると考えており、インフルエンザなどに感染したことが、自己免疫機能に何らかの悪影響を及ぼした結果、クライン・レヴィン症候群を引き起こした可能性があると指摘している。

 

 これまでに世界で500例ほど報告されているが、今のところ治療法はなく、ナルコレプシー(日中、突然眠り込んでしまう病気)や特発性過眠症(夜寝ても日中眠くなる病気)で使われる覚醒維持薬が一部の症例で有効だと報告されているが、副作用も大きい。一般的には、気分安定薬として双極性障害(躁うつ病)の患者に投与される炭酸リチウムや、抗てんかん薬などを処方することが多いという。

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