環境

ウナギやワカサギの減少「殺虫剤」が原因?宍道湖で調査

 全国一のシジミの漁獲量を誇る島根県の宍道(しんじ)湖は、川を通じて日本海とつながっているため、わずかに塩分を含む汽水湖だ。

 

 そのため、シジミ以外にもウナギやワカサギなどの魚類も漁獲されるのだが、近年、漁獲量が激減している。東京大学や産業総合研究所などの合同チームが調査した結果、水田で使われるネオニコチノイド系の殺虫剤が原因である可能性がわかった!

 

 ネオニコチノイド系殺虫剤は、欧米ではミツバチの大量失踪をまねいた可能性が報告されていることから、近年では規制を強化する傾向にあるが、水産物に対する影響は不明だった。(動画はシジミ漁のようす/宍道湖漁業協同組合)

 

1990年代に激減した理由は

 産総研が宍道湖の水質について調査した1990年代後半、全国一の漁獲量を誇っていたヤマトシジミの存在によって、植物プランクトンが光合成によって生み出す有機的な栄養分が過剰に増えるのを防いでいることを突き止めた。この際、1950年代にはたくさんとれたウナギやワカサギの数が減少している事実にも気づいたが、当時はその理由はわからなかったという。

ユスリカやナナフシが減少

 この調査から20年後の現在、宍道湖では魚類だけでなくシジミの数も激減していることから、調査再開し、水質だけでなく、魚がエサとするオオユスリカやナナフシなどの湖底に生息する生物に着目。その結果、1982年には1㎡あたり100匹以上生息が確認されていたオオユスリカの幼虫は2016年にはまったく見つからなくなるなど、特に節足動物が激減していることがわかった。

 

 オオユスリカはかつて、茨城県の霞ヶ浦や長野県の諏訪湖など全国で大量発生し、迷惑害虫だとみなされていた。宍道湖でも1990年代初めにはユスリカの生息調査を行っていて、住民から苦情が出るほど繁殖していたが、1993年を境に突然姿を消したという。

1992年に何があったか?

 実は1992年は、日本で「イミダクロプリド」というネオニコチノイド系殺虫剤が登録された年だ。その翌年、田植えが一斉に始まった5月、日本各地でイミダクロプリドが使われ始めた。

 

 この殺虫剤は水溶性で、昆虫だけに毒性を発揮するため、有機リン系殺虫剤に比べると、ヒトを含む哺乳類や鳥、爬虫類への安全性は高く、効果も長持ちすると期待されている。しかし、その分、いったん環境に流出すると分解・消滅するまでに時間がかかることから、宍道湖の魚のエサとなる湖底動物を減らし、それがひいてはウナギやワカサギの漁獲量の減少につながっていた可能性が高いという。

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