感染症

史上2人目!山岳ランニングの女性 目の寄生虫に感染 米国

 米カリフォルニア州で、舗装されていない山の中の道を走るトレイルランニングをしていた女性が、牛の病気である目の寄生虫に感染していたことが明らかになった!

 

 英オックスフォード大学出版局が発行する医学誌『臨床感染症学(Clinical Infectious Diseases)』に先月22日に掲載された症例報告によると、この女性は68歳。ふだんはネブラスカ州で暮らしているが、冬の間は気候が温暖なカリフォルニア州のカーメル・バレーで過ごし、海辺から20キロほど内陸地帯でハイキングやトレイルランニングを楽しんでいる。

ホルマリン漬けにした寄生虫を分析

 昨年3月、右目にチクチクした痛みを感じて水道水で洗ったところ、長さ1.3センチのクネクネした回虫が出てきた。鏡でよく見ると、もう1匹うごめいているのを発見。指先で取り除き、約20キロ離れたモントレーの町医者を訪ねた。

 

 3匹目を見つけた眼科医は、取り出してホルマリン漬けにして正体を調べるために疾病予防管理センター(CDC)に送った。さらに患者にはよく目を洗うように申し付けたうえで、細菌感染を防ぐために点眼薬を処方した。

 

 CDCは送られてきた回虫を分析した結果、「テラジア・グローサ(Thelazia gulosa)」という寄生虫だと判明した。これは、牛の涙に群がるハエによって感染する寄生虫症で、ヒトが感染した例はこれまでほとんど無い。唯一、オレゴン州の26歳の女性が感染した症例が昨年報告されたのが最初だ。

最初はオレゴン州で…

 オレゴン州の女性の場合は2016年、アラスカの漁船で働き始めた2週間後に、目に不快感を覚えて寄生虫を発見。船が帰港してからいろいろな眼科医や病院を訪ねたが、どこからも「こんなものは見たことがない」と言われ続けた。CDCが調べた結果、ヒトで初めてテラジア・グローサに感染していることが判明したのだ。

 

 冒頭の68歳の女性はモントレーの眼科医を受診した後も、寄生虫が出てきた。感染源はわからないが、発症直前の2018年2月、トレイルランニング中に、大量のハエの群れが飛んでいるところに遭遇。顔にぶつかったり、口の中に飛び込んできたことがあったので、これが感染した瞬間かもしれないと話しているという。

 

 CDCによると、この寄生虫の除去は、単純に目から取り除くしかないという。「イベルメクチン(商品名:ストロメクトール)」という抗寄生虫薬を使えば、死骸が目の中に残るおそれがあるからだ。

 

 そこで68歳の女性はその後、2週間にわたってひたすら目を洗い続けたところ、やがて目の刺激はなくなり、寄生虫が見つからなくなったという。ちなみに最初の発症例となったオレゴン州の女性は、20日間で左目から14匹見つかったそうだ。どちらも後遺症はなく、現在は健康に過ごしているという。

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