健康問題

電子タバコで肺死 17歳が米国初の両肺移植手術 有害成分特定か?

 近年人気が高まっている電子タバコだが、米国では35歳以下の若い世代を中心に、深刻な肺疾患を発病するケースが2000人以上と急増しており、これまでに39人が死亡している。こうしたなかミシガン州では、左右の肺が完全に機能しなくなった17歳の少年が、米国で最初の電子タバコが原因による両方の肺の移植手術を受けた。

肺死状態の17歳

 デトロイトのヘンリー・フォード病院が今月12日に発表した声明によると、この17歳の少年は今年9月5日、重い肺炎のような症状で地元の病院に入院。次第に呼吸不全状態に陥り、1週間後には肺に気管チューブを挿管したが、回復せず、ミシガン州の小児病院に転院。

 

 転院先では、心臓と肺の機能の代わりに、酸素を含んだ血液を体中に循環させる「ECMO(体外式膜式人工肺)」と呼ばれる人工肺とポンプにつながれて生命を維持させていたが、その間も症状はどんどん悪化を続け、最終的に両方の肺を移植するしか選択肢はなかったという。

生命維持装置につながれる

 そこで優秀な胚移植のチームがいるヘンリー・フォード病院に白羽の矢がたち、ドナーが見つかった10月15日、約6時間に及ぶ移植手術を実施。担当医の胸部外科医ハッサン・ネメ医師によると、少年の肺はこれまで見たことがないほど硬化しており、損傷の度合いが激しく、肺死状態に陥っていたという。

 

 手術は成功し、患者は現在、人工呼吸器をはずした状態で呼吸ができるようになり、体力を回復させるために歩行訓練などの理学療法を受けているという。

2051人が肺疾患

 米疾病予防管理センター(CDC)の最新の報告によると、今月5日現在、アラスカ州をのぞく全米49州と米領ヴァージン諸島で、あわせて2051人が電子タバコによる肺疾患を発症しており、このうち39人の死亡が確認されているという。

 

 2051人の患者のうち8割近くが35歳未満で、最も多いのが18歳から24歳、次いで25歳〜34歳、18歳未満も14%いるという。最新の調査で、10州の29人の患者の肺に注入した生理食塩水を回収・分析した結果、すべての液体から「ビタミンEアセテート」という物質が検出された。

 

 CDCによると、ビタミンEのサプリメントやクリームなどに含まれるビタミンEアセテートは、それ自体では深刻な健康被害を引き起こすことはないとみられているが、過去の研究では吸入した場合、正常な肺機能を妨げる可能性が指摘されている。

 

 さらに電子タバコや、大麻樹脂に含まれる有害成分THC(テトラヒドロカンナビノール)を使った、蒸気を吸入する製品の添加剤として使われていることが多く、路上で簡単に入手することができるという。

※日本国内で販売されている電子タバコはリキッドと呼ばれる液体を電気で加熱して、蒸気(ベイパー)を吸引する仕組みで、大半が米国の製品とは成分が異なる。しかし、インターネットを通じて売買されている商品のなかには、葉タバコを加熱することでニコチンを含むエアロゾルを発生させる非燃焼・加熱式タバコや、ニコチン入りのリキッドタイプもインターネットをあり、日本呼吸器学会では「従来のタバコと同様に健康リスクや受動喫煙の可能性がある」という見解を示している。

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