感染症

昨年は死者100人超 マダニ感染症SFTS ウイルスの標的解明!治療薬開発へ

 ここ数年間で毎年感染者が増えているマダニ感染症SFTSについて、国立感染症研究所は昨年1年間の患者数が初めて100人を超えたと発表した。過去7年間で患者数は計500人に迫る勢いだが、感染研と日本医療研究開発機構のチームは7日、従来わからなかったウイルスが標的とする細胞の正体を突き止めたと発表した。発病メカニズムが明らかになることで、治療法の開発につながるとして期待が寄せられている。

2013年以来、増える感染数

 マダニが媒介する感染症は複数あるが、なかでも2011年に中国で初めて報告された「重症熱性血小板減少症候群SFTS」は、致死率15〜25%程度とウイルス性の病気としては非常に高く、日本でもこれまでに70人が死亡しているという。

 

 感染研の最新の報告によると、2019年の感染者数は101人にのぼり、2013年に国内で初めて感染が報告されて以来、患者数が初めて100人を超えた。

 

 また2017年以降、国内では猫や犬などのペットが発症したケースもあいついでいて、SFTSを発症した動物からヒトへ感染する、新たな人獣共通感染症という問題も浮上。2018年には患者数が最も多い中国の研究で、患者の3割以上で出血症状が見られることもわかった。

変化する途中の免疫細胞

 感染研の鈴木忠樹室長と長谷川秀樹部長らのチームは、国内で死亡した患者の病理組織を解析とともに、細胞を培養して、ウイルス感染の実験を実施。その結果、患者の体内でウイルスが感染した細胞は、リンパ節や膵臓などで最も多く検出された。さらに正体は、抗体を産生する途中の「B細胞」という免疫細胞であることも突き止めた。

 

 研究チームによると、ウイルスに感染したB細胞は、リンパ節や膵臓以外の肝臓や副腎などでも見つかったことから、SFTSの発症にはB細胞が深く関わっていると結論づけた。

 

 チームは、ヒトのものに似た細胞株を使って、試験管内でSFTS患者の体内で起こる感染を再現する実験にも成功していることから、今後、抗ウイルス薬などの治療法の開発に結びつくとして期待が寄せられている。

 

 なお、この研究成果は米国臨床調査協会が発行している医学誌『ジャーナル・オブ・クリニカル・インベスティゲーション』に掲載された。

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