医療技術

閲覧注意!「ドラゴンの角」背中から生えた!英国50歳男性

 東洋の竜と西洋のドラゴン。文化の違いはあるけれど、伝説では空を飛び、体はウロコに覆われていて、鋭い牙と爪を持った姿で描かれている。現代ではもっぱらファンタジー小説やゲームの中でしかお目にかかれないキャラクターだが、英国北部では最近、背中に大きな竜の角を生やした男性が病院を訪れた!

 

 英医学誌『BMJ(ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル)』12月号に掲載された症例報告によると、英国チェスターに住むこの男性は50歳。長年、肉体労働に従事してきたが、腰にできた巨大なできものに思い悩み、チェスター病院を受診した。

マグカップの持ち手のよう

 男性の背中からは長さ14センチ、太さ6センチのS字型のできものがへばりついていて、ドアノブのように腰のあたりまで垂れ下がっていたという。

 

 形成外科のアガタ・プロンザック医師が尋ねたところ、最初は目立たないコブ状のできものだったが、過去3年間で急激に巨大化し、マグカップの持ち手のように成長。上着やズボンを身につけるのも一苦労だが、これほど大きくなるまでなかなか病院に来られなかったという。

他に転移はしないが

 俗に「Dragon horn(ドラゴンの角)」と言われる皮膚がんの一種で、表皮の中のケラチノサイト(角化細胞)からできる病気だ。最初は小さな赤い盛り上がりだったのが、時間がたつにつれて徐々に拡大して硬いトゲのようになるが、皮膚以外の場所に転移することはめったになく、日本語では扁平上皮がんと言う名前がついている。

 

 皮膚がんには一般に「基底細胞がん」と「扁平上皮がん」があり、これら2種類は皮膚以外に転移しない非メラノーマ(非黒色腫)性だが、一方で非常に稀だが、メラノーマ性の皮膚がんだと他にひろがる可能性が高くなる。

 

 この男性は他に転移しないタイプのがんだったが、放置したためにここまで巨大化した。切除手術は成功し、幸いにもリンパ節への転移もなかったが、専門家によると60代から70代に多く、通常は頭や耳、手の甲、腕など日の光を浴びる場所にできやすいという。

ひたいから生えたケースも

 男性は肉体労働に従事していたため、暑い季節には上半身裸になって屋外で作業することも珍しくなかったというが、フィラデルフィア医師大学のミュッター医学博物館には、1940年代に70歳の女性患者から切除された長さ20センチを超える「ドラゴンの角」の標本が展示されている。

 

 この女性もまた日焼けする機会が多く、生涯で2度にわたってドラゴンの角ができた。2度目のものは皮膚に7年間はりついていたという。

 

 現代のように、紫外線が悪影響を及ぼすことがわからなかった時代は、この種の皮膚がんが「自然の脅威」だと恐れられており、歴史上の最初の記録は1588年の英国ウェールズ州の高齢女性マーガレット・グリフィスさんだと伝えられる。

 

 さらに17世紀の英国人メアリー・デイビス夫人は、ひたいから長さ25センチの角がぶらさがっていたというから驚きだ。ミュッター博物館では19世紀のフランス人女性マダム・ディマンチェの蝋人形が残されている。

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