地震

南海トラフ:海底下で「スロースリップ」初観測!東大・海保

 今後30年以内に高い確率で発生するおそれがある南海トラフ巨大地震の震源域で、海底下のプレート境界がゆっくりすべる「スロースリップ現象」を、東京大学と海上保安庁の研究グループが初めて観測した!

 

 スロースリップは、プレート境界にある断層が数日から数年かけてゆっくりとすべる現象で、通常の地震に比べて体に感じるような大きな揺れはなく、観測が難しい。2011年の東日本大震災の1カ月前にも発生が確認されていることから、津波地震を引き起こすメカニズムの解明につながるとして、研究が進められている。

海底スロースリップ地震は観測が難しい

 これまでは主に、GPS衛星などを使った陸地の直下に位置するプレート境界の地殻変動を対象に観測が続けられてきたが、東大生産技術研究所で海中観測を専門とする横田裕輔講師と、海保の石川直史火山調査官のグループは、共同で海底の地殻変動を観測する技術を開発。

 

 南海トラフの海底15カ所に設置した音波装置と、海保の測量船との距離を測定する観測機器に、GPS測位システムを組み合わせることによって、2006年から2018年まで観測されたデータを分析した結果、7つの地点でスロースリップによる海底の変化があった。

7カ所はどこか?

 7カ所のうち、九州の大分県と四国・愛媛県にはさまれた豊後水道では2013年から2016年にかけて断続的にスロースリップが発生。また、高知県の土佐湾でも短期的なスロースリップが検出された。

 

 さらに紀伊半島と四国の徳島県、淡路島に囲まれた紀伊水道では、2008年〜2009年と、2017年〜2018年にかけてマグニチュード(M)6.6と推定されるスロースリップを観測。

 

 さらに紀伊半島南端から三重県にかけての熊野灘、三重県から静岡県にかけての遠州灘でも海底の地殻変動があった。

 スロースリップによる変化が発生していた7地点はいずれも、陸地の下に沈み込む海洋プレートが強く密着している「固着域」の外側で超低周波地震が活発化しており、すべり幅は5〜8センチと比較的大きかったという。

 

 南海トラフ巨大地震をめぐっては、気象庁も陸域を中心にスロースリップによる地殻変動の観測を行っているが、今回は陸から遠く離れた海底から浅いプレート境界を対象に観測を実施した。今後は、発生場所による違いやプレート境界の固着状態への影響などについても研究を続けていくとしている。

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