宇宙

人工衛星2基 米ピッツバーグ上空で衝突の危険「制御不能状態」

 日本時間30日午前8時40分ごろ、米東部ペンシルバニア州ピッツバーグの上空で、制御不能になった2基の人工衛星が衝突する危険が高まった。宇宙ゴミ(デブリ)の監視を行っている米国の民間企業「レオ・ラボ(Leo Labs)」は「まだ衝突した痕跡は確認していない」と発表して、引き続き監視を続けている。

 

 この2基は、米航空宇宙局(NASA)が1983年に打ち上げた赤外線天文観測衛星(IRAS)と、偵察衛星の開発を目指して重力実験を行うために米空軍が1967年に打ち上げた試験衛星(GGSE4)だ。いずれもすでに機能していないことから、通信できず、制御不能の状態だ。

秒速14.7kmで接近

 レオ・ラボによると、2基は米東部時間29日午後6時39分に、秒速14.7キロで接近し、ピッツバーグ市の約900キロ上空で15〜30メートルの距離まで最接近するおそれがあった。

 

 当初の予想では、2基が衝突するリスクは1000分の1程度だと考えられていたが、その後、別の民間組織「エアロスペース・コープ(The Aerospace Corporation)」が独自に10分の1と予想するなど、さまざまな分析が出された。

衛星同士の衝突

 レオ・ラボのCEOダニエル・セパーリー氏は、「同じ周回軌道にある宇宙ゴミ同士がぶつかることは日常的だが、衛星のニアミスは非常に珍しく、周回速度が早いので正確に動きを予測するのは難しい」と認めたうえで、「仮に衝突した場合、粉々になった破片が新たな危険を生むおそれがある」と懸念を表明している。

 

 予想時刻が過ぎたきょう昼前の発表では、「47メートルまで接近すると予想されたが、まだ新たな破片は確認していない」として、衝突が回避された可能性を示唆。そのうえで「これで衝突危機が去ったとはいえない」と引き続き監視を強化する考えを示した。

 

デブリが地上に落ちる危険

 人工衛星の運用をめぐっては、国連のガイドラインによって、運用終了後25年目で軌道から撤去するよう定められているが、今回の2基はガイドライン制定前に打ち上げられた衛星であるうえ、仮に撤去しなくても厳しい罰則規定があるわけではないという。

 

 2009年2月には、米イリジウム社の通信衛星「イリジウム33」と、引退したロシアの軍事通信衛星「コスモス2251号」が北シベリアのタイミル半島上空で衝突する事故が起きている。この衝突では、10センチ以上の破片が2000個以上、さらにもっと小さなデブリが数千個発生したと考えられている。

 

 あなたにオススメの記事

 編集部からのオススメ記事