医療技術

新型コロナ「急性膵炎の既存薬フサン」ウイルス侵入を阻止 東大が発表

 東京大学医科学研究所のグループは18日、新型コロナウイルスの治療に、既存の薬「ナファモスタット」が、使える可能性があると発表した。「フサン」の商品名で知られるこの薬は、急性膵(すい)炎などの治療薬として安全性が確認されており、ウイルスが人間の細胞に侵入するのを邪魔する働きが確認されているという。

 

 新型コロナウイルスが人体に感染するには、ウイルス表面を覆うエンベロープという膜からトゲのように突き出した「スパイク」というタンパク質が、ヒトの細胞膜に結合することがわかっている。

ナファモスタットとは

 同研究所の井上純一郎教授と山本瑞生(みずき)助教のグループは2016年、同じコロナウイルスの仲間であるMERSの研究で、スパイクタンパク質を活性化させる分解酵素に着目し、急性膵炎の治療薬であるナファモスタット(フサン)がウイルスの細胞膜への侵入を阻害する可能性を発見している。

 

 そこで今回は、胎児の腎臓由来の細胞と、気道上皮細胞を使った実験で、ナファモスタットの働きを確かめたところ、ウイルスがヒトの細胞膜と融合するのを阻害する効果があることが判明した。

 新型コロナウイルスの治療薬の開発をめぐっては、今月初めにドイツの研究グループが「カモスタット(商品名フォイパン)」に有効性があることを発表しているが、井上教授らが比較した結果、ナファモスタットは、カモスタットのおよそ10分の1の濃度でも効果があることも確認されている。

 

 どちらも日本で開発された膵炎などの治療薬で、ナファモスタットは点滴薬、カモスタットは服用剤という違いがあるが、投与後の血中濃度はナファモスタットのほうが高いという。

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